12.30.2019

ブルジョワープ

タクシーの初乗運賃が値下がりして、いくぶん「ちょっとそこまで」使う抵抗が減った。

先日乗ったときの運転手が印象的だった。品のある老紳士で、運転がとても丁寧だった。行先を伝えて数百メートル走っていると、親しげに話しかけてきた。お兄さんを乗せたのは3回目くらいですよ、と。

ここらが地元のようで、ほぼ毎日同じエリアを周回しているらしい。流してるだけなのに、気がつけば顔見知りのお客もできたようだ。近場のお客さんをたくさん乗せる方が自身の性に合うのだという。

西新宿の高層ビル街に入っていくにつれて、昔話がはじまる。新宿駅のこっち側は、昔は本当になにもなかったんだと。そして都庁ができて、住友三角ビルができて、アイランドができて、あっというまにビルだらけになったそうだ。

物悲しい感じはなく、街並みの変化を実に楽しそうに話していた。いまは孫とアイランドタワーの地下で食事をするのが楽しみらしい。

またゆっくり話を聞いてみたいと思った。

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今年もこれでおしまいです。

みなさまが穏やかな新年を迎えられますよう、祈ってます。

ヒナミケイスケ

12.07.2019

図太く生きる

木ノ下草介、男40才一人暮らし。

美容院や床屋にいくのが面倒なので、散髪は自分の手で済ませている。伸びてきたな、と感じたらバリカンでちゃちゃっと。月に一度か二度のペースだろうか。

はじめたばかりのころは後頭部や耳周りの処理が難しく感じたが、なんどもやれば要領がつかめてくる。左右のバランスがズレたりもするが、人にやってもらうことにかける時間やお金を考えれば許せる代償だった。

ときには事故も起きる。バリカンはシビアな道具で、一度切ったものはやり直せない。ある日、うっかり長さの設定を1ミリした状態で切り込んでしまった。ミスった箇所を隠すため、やむなく1ミリの丸坊主にした。

同僚や友人に笑われた。