7.31.2017

家庭内国境

父親がアメリカ人になった。

かれこれ17年前に私は日本に帰国したが、両親兄弟は皆アメリカに住み続けている。私にとって帰国することがごく自然な流れであったように、私以外の家族にとってアメリカに根をはることがごく当たり前なことだった。同じ血筋で、概ね同じ生活を共有してきた間柄にも関わらず、これほどくっきり選ぶ道が分かれたことは今でも不思議に思う。

私の家族はよくも悪くも薄情者のあつまりだ。冠婚葬祭のときは集まるが、用がなければコミュニケーションはまばらだ。決して仲は悪くない。むしろ、成人してからは親兄弟をよりよく想い合うようになった気がするし、合える機会があればその限られた時間を大切にしようと心がけている。

こないだ末っ子の妹が結婚した。縁起でもないが、兄弟のいずれかが離婚でもしない限り結婚を理由に集まることはもうない。