1.18.2020

桃次郎

西暦2200年、人間と猿、犬、キジが宇宙に旅立った。トラブルが起き、無人の惑星に墜落してしまった。宇宙船は修復不能だが、奇跡的に四人は無傷だった。ただし、生きてるということは長い長いサバイバルの物語のスタートラインについたことになる。

みんなの力を合わせて、生き抜こうと決めた。チームワークが不可欠なので、リーダーが必要だ。目標や方針を決め、もめ事があったときに仲裁でき、自らの行動で他のものの模範となる役割だ。

俺っしょ、と人間は言う。しかし意外にも猿、犬、キジの反応は冷ややかだった。

「そういうとこだぞ桃次郎」
「あーあまたはじまったよ」
「バカ」

ダメなの?身体的にも思考的にも一番優れてると思うんだけど。力持ちだし、戦略的に考えられるし、手先も器用だよ。ほら、人差し指と親指でいろんなものをつまめるスペックなんだぜ。

犬は言う。たしかにそうだけど、なんだったら桃次郎は下部として動いた方が役に立つだろうよ?持ち前の力、頭の良さ、器用さをつかってみんなの食料をあつめたり住まいを作ったり。背高いなら俺たちのためにあそこの木の実をとってくれよ。