7.18.2013

フジツウとぼく

いつからか僕の冷蔵庫は意志を持ち口がきけるようになった。これは断じて思い込みではない。たしかに、はじめは頭がおかしくなったのではないかと自分を疑った。多重人格の可能性も考えた。しかしよく考えると、自ら忘れていた牛乳の賞味期限が2日間過ぎていることを指摘できるのは、多重とはいえ自分には無理なことで、冷蔵庫本人の他ありえない結論となった。

概ね仲良くやっている。名前はフジツウ。性別は多分、女寄り。性格は、地味。なぜか流ちょうな中国語もしゃべることができるが、口数は少ないほうだ。生活のパートナーとしてはちょうどいいのかも知れない。はじめは仕事での出来事とか、会ってきた友達の話など、割と細かな報告をしていたが本人はあまり興味がないようで、大抵話題は夕飯の献立に誘導されていく。

この間、はじめてフジツウと口げんかをした。きっかけは余りにも些細で下らないことだった。翌朝、冷凍室に入れておいたガリガリくんが溶かされていた。どうやら根に持つタイプだ。しゃべれるなら掃除機がよかった、なんて口走った自分も大人げないと思う。


今日帰ったら中身をきれいに掃除して消臭剤を入れてやろうと思う。