10.01.2022

テクノロジー神話

2031年3月25日

信介が9才の誕生日だった。プレゼントは眼内パソコンのための新しいインタラクティブソフトだった。ゲームのほかにも実用的な用途がたくさんあるのだとか。

信介は本やテレビ、映画は好まない。どうやら自分が何かしら参加していないと時間の無駄だと感じるよう。

昔の私はテレビをたくさん見ていた。マンガもだ。他人が作った物語や事柄をじっくり吸収することができて楽しかった。最近の子は集中力が弱いのか、うちのも会話のキャッチボールが成立しにくい。人の話聞いてるのか、と一度怒ってたずねて見たが、140文字より多いと何言いたいかわからないよ、と反発された。自分の話のまとめ方のせいにされてしまった。

ちなみに私の親は、子供の頃から本を読め、活字につよくなれとうるさかった。テレビとマンガばかり見てるとバカになると。そんな親はわたしの大好きなテレビを粗大ゴミに出して大層に満足気のようだった。これで家族の会話が増えるわね、と言っていたが早々に二人ともスマホ中毒になった。会話はむしろ減る一向で最終的にわかれてしまったのだ。