2.16.2020

新しい生活へ

東京出身、平成生まれの司と梨奈。結婚3年目にして秋田に引っ越した。お互いサラリーマンを辞め、思い切って憧れの田舎暮らしを実現しようと試みた。いつか子供を授かる日が来たら、レールありきの育て方ではなく、のびのびと個性豊かに育つ環境を望んでいた。

「多少のお金とwifiがあればなんとかなる」

準備を進めるなか、どちらか不安になるたびにこれを合言葉にした。田舎暮らしのテレビ番組はばっちり録画して、家庭農園のYoutubeをたくさん観て、Amazonで長靴を仕入れた。

「近所付き合い」というものについて祖父母に相談した。気疲れしそうだが、適度な距離感を保てばどうにかなりそうだ。物々交換のシステムが存在するようだが、自分らが提供できるものがないのが心配だった。

大きな問題が移動手段だった。二人とも運転免許をもっておらず、教習所にかようことにした。軽自動車は必需品になりそうだ。

秋田の冬は寒いらしい。司は簡単なDIY術を学んだ。梨奈は母親に頼んで料理のレパートリーを増やした。

みんなが心配している。