3.15.2020

ヴィオラです

西沢友江、45才会社員、ヴィオリスト。ヴィオリストとは、ヴィオラ奏者のことである。ヴィオラとは、バイオリンに似てるがバイオリンではない楽器のことである。

一言で言えば、ヴィオラはマイナーな楽器だ。オーケストラの配置的にはバイオリンの隣にいることがよくあるので、よく見ないと見分けられない。楽器の形はバイオリンと同じで、よくみると少し大きい。弾き方はバイオリンと同じように肩とアゴに挟んで弓で弾く。音域はバイオリンとチェロの間の中低音で、やさしい音色。

中間的な音域なので、楽曲では調整型の役割を果たすことが多く、バイオリンやフルートのように主旋律を任されることはない。したがって難しい技術を求められる機会もなく、クラシック界では「ヘタクソ」と冗談めいていじられることもある。ただヴィオラが加える音の厚みは極めて効果的で、オーケストラの迫力には欠かせないパートだと言える。

「バイオリン」の五文字で伝わるイメージが、「ヴィオラ」となると上記ほどの前置きがないと同等の理解を得られない、ちょっぴり気の毒な存在である。

まじめに地味な仕事をこなし、目立ちもしなければとりわけ主張もせず、いなくなることで初めてその価値に気がつく。

ヴィオリストの西沢友江もそんな人間だ。