9.17.2023

傷心

私は二宮和司、一人暮らしをしている。この部屋では10年ほど。古くて壁が薄いし、洗濯機置き場も屋外。それでも立地が大変よく、もしもの時は大家の面倒見がいいので満足している。

こないだ空き巣にやられた。火曜日だったか、仕事から帰宅すると部屋中が荒らされていた。棚やクローゼットの中身が乱暴に床に散らかされ、おまけに靴の泥跡がフローリングに残っている。

何を取られたか、の以前にショックで悲しい気持ちになった。私にとって大事なCDコレクションは、どうでも良い依頼と同じようにぐしゃぐしゃに扱われていた。赤の他人にわかるわけもない、自分の存在が否定されてると感じた。

不幸なのか幸いなのか、通帳や印鑑など金目の貴重品は一切手をつけられていなかった。途中で諦めたのかも知れないが、それなら何故こんなことを、と解せないし、はじめて人がこんなにも恐ろしいと感じている自分がいた。

この部屋にはもういられないので、なるべく早く引っ越そうと思う。