11.12.2023

上司はAI

芝崎耕太郎、男28才契約社員。
真面目である。

コンサルタントをしている。何をコンサルしているかというと、企業相手に経営アドバイスをする。良くあるのは中小のメーカーさんだ。AIが発達してきたので、ほどよく当たり障りなく正論にのっとった戦略を組むことは、容易なことだ。客先の会社も同じAIに聞けば良い話であるが、生身の人間に伝えてもらうことに安心するようだ。

ある地方の眼鏡工場にしたアドバイスは、心苦しいが大幅な人員削減だった。昔とくらべて需要が下がっていて、同じ人員をかかえたままでは会社もろごと潰れてしまう。単価の高い高級品にラインを絞り、余剰の技術者、設計、事務職を徐々に減らしていくのだ。

伝えにくい内容をどう上手く伝えられるかAIに相談した。

正しいが存続の望みは低いという、本当は今すぐにでも倒産した方が得策だ。ただコンサル業として倒産実績を作ることが望ましくないこともあり、この提案がベストなウインウインだという分析だ。このプレゼンを最後にフェードアウトするべきと。

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