8.14.2016

あるべき姿

通夜の参列者には同情されていたと思う。

大学時代の友人、同僚、趣味仲間のどれをとっても、故人との付き合いが私より長い。彼とは3ヶ月のスパンで出会い、結婚し、死別してしまった。そんな喪主にどんな声をかければ良いものか私でも分からない。長蛇の参列者。私と目を合わせては気の利いた言葉を探り、諦め、ぎこちないだけの空白にお辞儀でピリオドを打ち、逃げるように棺に進む。

故人には悪いが、参列者と私では悲しみの差が大きい。私はこれからゆっくり愛を育むつもりでいたから、彼らが羨ましいし、このベルトコンベヤーは辛い。

不幸中の幸いというか、親族との関係は良好だ。亡くなる前にあらかたの遺産整理を片付けられたのは夫の先見だった。

義理の父はとても良い人で、カナ江ちゃんはこれからまだ先長いんだから、いい人がいれば私たちに気を使うことない、と言ってくれている。

いまそこまで気が回らないが、落ち着いたらしばらくゆっくりしたいと思う。