4.19.2013

しつけウォーズ

猫は私を憎んでいる、しかも、かなり積極的に。無視されるとか物を壊されるレベルではない。家に帰ると飛びつかれてひっかかれるのだ。奴の名前はクロ、オス、推定5才。

クロという名前は、私のつけたものではない。三ヶ月前ほど、地域のボランティアが運営する地域猫の譲渡会らしきイベントでクロを譲り受けた。本当は通りがかりだったが、ボランティアの子がかなり可愛かったのが自分の判断を鈍らせたと分析している。

抱っこが大好きなんですよぉ、いなくなったら寂しいからプライベートで会いにいっちゃうかもぉ、などと語尾をたっぷり伸ばした女の声。もちろん私への愛の告白だと受け取ったわけだが、その後我が家でのウフフな営みはいっさいないどころか、クロを再び引き取ってもらおうと団体を探そうとしても団体ごと見事に蒸発している。経緯はそんなところである。

我が家でのクロと私の力関係のアンバランスには悔しいくらい驚かされる。クロを飢え死にはできないので、餌や水は与えている(与える度に噛みつかれる)。トイレの掃除は、私も不潔はイヤなのでしっかりやっている。その二つの条件が整っていれば、クロからしてみればやりたい放題である。私にはカードが、はじめから、ないのだ。

触ろうとするとシャー。ドライのキャットフードを与えるとシャー。先に寝ようとしてもシャー。機嫌が悪いときもシャー。怒られないように過ごすことが大変だ。

昨晩はじめて、高級キャットフードとぬるいエビアン水を六時ぴったりに与えてすかさず10メートル以上距離をおいたら、はじめて、はじめて、ニャーと鳴いた。

クロが好きになりそうな自分が怖くて、情けなくて、嬉しい。