11.07.2019

時間をうめる

春日井トオル19歳、高卒のプロゲーマー。

小中高を通して勉強は普通、スポーツ苦手、人付き合いはとりわけ苦手。ゲームは心のよりどころでもあり、自信の源でもあった。シューティングゲーム、パズル、格闘、スポーツ、ロールプレイや音ゲー。オンラインのおかげで回線越しの人間関係ならある程度コミュニケーションもとれるようになった。

残念ながら両親はさほど時代に明るくなく、まるで引きこもりのように心配したり、無理やり外に連れ出したり、ゲームに費やす時間が長い場合は怒ったりもした。せめてマンガかテレビに夢中になればいいのに、と言われたこともあった。トオルの言い分としては、親こそ子供の頃はマンガばかり読んで怒られたことがあるのに、ゲームだけに偏見を持たれているのが不公平だと感じていた。視力と偏差値は落ちたが、自分なりに熱くなれて大切なものなのだ。

いくつか大会で実績を出していくうちにプロ転身の話があがった。好きなことをしてお金を稼げることはもちろん魅力的で、プロという肩書でもつけばさすがに両親も「実り」を認めるようになるだろう。

しかしながらプロになってから思うように成果が出せていない。他人の期待なのか、感じたことのないプレッシャーを感じている。

大会前の緊張を和らげるために、最近マンガを読み始めた。