12.31.2020

根拠のない生命力

旧友がいる。
ヤマとでも呼ぼうか。

出会ったのはmixiが流行った時代だった。「時代」というと遠い昔話に聞こえるけど、意識の中ではさほど古い話じゃない。今でも連絡とりあっていて、会わずとも身近な存在だからだと思う。何度も会っているが、この数年はスマホ越し。

この人、距離感が下手くそで、せわしない。ひょっとすると天才なのかもしれない。謎の写真が急に送られてきたり、数年ぶりの一声目が「おい」といわんばかりのトーンなのだ。

それと、連絡を取るたび職業や住む街が変わっているのが楽しい。本人はいたってまじめにやっているので笑話にしてはいけないが、ちょっとツイてないところだったり、血の気が強めなので人間模様がこっけいだったりもする。

そこそこ年上で健康意識もあるのかないのかハッキリしないが、直感的に私より長生きする気がしてならない。

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今年もこれにて閉店します。駄文にお付き合いくださりありがとうございます。

みなさまの年末年始が穏やかでありますよう。

ヒナミケイスケ

12.19.2020

はじまるも終わるも

坂内香代子。
夫の顔を一度しか見たことがない。
結婚してからは、一度も見ていない。

交際中に一度だけ普通のデートをした。記念日でも何でもない日だったが、心配性の友人がどうしてもと喧しいので都合をつけた。公園を散歩して昼食をとった。良い意味で、いつもの声や文字越しの雰囲気と変わらなかった。髪が黒かった。写真をとらなかったことに友人にまた説教されたが、諦めたようでその後何も言わなくなった。