4.08.2012

そこにいること

私の父親は元プロ野球選手だ。そこそこの成績だったが、日本シリーズとかゴールデングラブのような目立った実績はいつも惜しいところで届かず、結局どれもハゲで現役生活を終えた。悔しくなかったの、とたずねたことがあるが、本人は満足しているようだ。20年もこの球団の野手をつとめたことが誇りだという。日本シリーズ勝ってたら今頃違うこと言ってたんじゃないの、と茶化したら偉く怒られた記憶がある。人望はあるようだ。引退後も三塁コーチをしており、野球一筋の人生を全うしている。母親も球団の専属医の助手だった。

そんな世界に長くいる分、父は上下関係にきびしく、礼儀や言葉遣いに関しても相当うるさい。端から見れば立派だが、野球が関係しないところに関してはまったくの世間知らずである。家事に関してはまず論外だ。いまだにカップめんを母に作ってもらっている。損得勘定は強いて言えばマシな方で、なんらか家に稼ぎをもたらす責任は自覚しているようだ。女性関係は分からないが、あったとしても上手くボロを出さずにしているのだろう。

そんな父は、私にとってどうしても遠い存在に感じる。運動会や卒業式には時間を駆使して見にきてくれたし、大事な場面では相談にのってくれるが、家を離れてる時間が一般の家庭に比べて多かった。好き、とか、嫌い、というより、薄い、のだ。
久しぶりに二人で酒でも飲みに行こうと誘われたが、キュンと胃が痛くなったのはなんだろうか。

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