1.15.2012

感想文

ようやく自宅に帰れたのは日曜日の夕方だった。アパートの郵便受けは留守中にたまってしまった新聞紙やチラシでパンパンになっていた。一番古い新聞の日付が1月10日だった。新しいのは今日、1月15日。

宇宙人と過ごした6日間を振り返ると、そんなに悪い体験ではなかったと思う。もちろん、できればこんな怖い思いはしたくないもので、あくまでも想像よりかは、だ。ただ、ごらんのとおり私は家に帰ってくることができている。怪我もなく、いたって元気だ。強いて言えば少し空腹だ。宇宙人の食べ物はレトルトっぽく、口に合わなかった。

人を誘拐するくらい大胆なくせに、宇宙船で一緒に暮らすと意外に内気で人見知りだということが分かった。誘拐してる側としてどっしりかまえていればいいものの、普段どんなものを食べてるのだとか、室内着の色はピンクのやつとブルーのどっちがいいだとか、中途半端に気を使おうとする。

そっちの話を色々聞くと、どうやら地球に来た目的もいまいちハッキリしていない。もちろんベストは征服することらしいが、あまりにも基礎的なポイントをおさえていない。人類が言語や宗教や思想がバラバラでまとまりが悪いこと、戦争に踏み切った場合核兵器を使いうること、最近はメタボといって肉体労働に適さない人間が増えてること、など教えたらいささかウンザリした様子だった。

私の憶測に過ぎないが、多分面倒くさくなったのだろう。

コメント0archive

Post a Comment

<< Home