行って来ること
先日、奥多摩にある川乗山という山を登りました。富士山や高尾山みたいに誰もが知ってる山ではありませんが、きれいな川や滝がたくさんあり、多くの登山者や沢登りをする人の心に近い山だと思います。
僕も何時かこの山を登っていますが、ルートの途中でいつも通り過ぎる、大きな岩に埋め込まれた慰霊碑があります。1986年に、洞窟にダイビングしにいったまま行方不明になってしまった上智大生の冥福を祈るものです。洞窟ダイビング。僕には危険すぎて一生縁がなさそうなスポーツですが、ただ、いくら気をつけても山遊び全般に伴うリスクについて、慰霊碑を通り過ぎる度に痛感するのでした。
驚いたのは、つい先月この学生が遭難してから実に25年の時間を経て、遺体が発見されたというニュースでした。DNA鑑定の結果はまだ出ていないようですが、ダイビングスーツを着てたことや発見場所などから推測して、当人である可能性が高いと見られているようです。
遺族の心境が果たして、ホッとしたのか、それとも古い傷を呼び戻すことになったのか、両方なのか、想像できないです。ただ、亡くなった学生からしてみれば、ようやく狭くて暗い洞窟から解放され家族のもとに帰れたので、見つかったことは総じてよかったんじゃないかな、と思うのです。
慰霊碑があるくらい有名な話ですので、学生にまつわる都市伝説もあります。道に迷ってしまった登山者が若い青年に案内されて、その青年はいつの間に消えてた、など。心やさしい霊だったようです。
これからあの慰霊碑がどうなるのか分かりませんが、おとといはまだありました。いつもだったら安全祈願で手を合わせていたところでしたが、彼はその場所を既にはなれていたかも知れないので、「祈願される」立場にないんだなぁ、と思いました。素通りするのも何なので、よかったね、と心の中で言っておきました。
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