11.21.2010

スターの宿命

鮭です。私は、一匹の鮭です。

私の身は脂がのっていて、この時期はとくに美味しい。自覚している。私も自分の身にかぶりつきたいくらい。塩焼きもいいが、ちゃんちゃん焼き、ムニエル、鍋、刺身も捨てがたい。

どおりで種族の人気は高く、仲間や知り合いがしょっちゅう捕まっては食われている。もちろん、我々だって生き物なので、捕まるまでは個々生き延びるための努力はしなければならない。でも、なんとなく狩る側の気持ちも分からんでもないのだ。だって、鮭なんだもの。いざ捕まったら、諦めというか、気持ちの整理は割とつきやすい。

たとえば、くじらと比較すると、やつらは生きてる姿が優美だから、食卓にのせるにあたってある種の後ろめたさがどうしても残る。あと、正直そこまで美味いわけでもない。我々だって決してカッコ悪い魚じゃないが、あの食欲をそそるオレンジ色の身があまりにも強烈なため、食卓のイメージの方が先行してしまう。

いっておくが、決して自殺願望があるわけではない。ただ、仕方がないことは仕方がないと言っているだけである。

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