9.11.2010

行くサンシャイン号

日野博士は優れた学者だった。発想豊かで、理論的で、人柄も温厚で研究員の人望も厚かった。ただ、日の届かないところに陰りもあった。日野博士は異常なほど研究熱心で、一時期は数ヶ月もの間家に帰らなくなり、終いには妻に家をでられてしまったのだった。それからの日野博士は日に日に元気がなくなり、やがて研究員に意味なく怒鳴りつけたり八つ当たりするようになってしまった。

人間関係は相当悪くしたが、研究は順調にすすみとうとうタイムマシンのプロトタイプが完成した。日野博士は自らタイムマシンに乗り込んで100年後の未来に行ってきた。帰ってくると、見てきたものをすべて研究員に語った。

政治、流行り、食べ物や生活など、生き急ぐように日野博士はしゃべった。2、3時間話すとさすがに疲れて帰った。一番若い研究員に議事録作成を命じていったのだった。

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