3.20.2010

レゴブロックの山あれば

らちがあかないので、いっそのことツチノコを作ってやろうではないか。

科学の進歩は果てを知らず、やがて生命をも自在に操ることが可能になった。神の領域に着実に近づいた瞬間だった。問題は、その凄まじい力を具体的に、何に使うべきなのか決めかねていた。思いのままに動く奴隷軍隊を立ち上げて世界征服を図る者もおらず、あるいは失われつつある文明を保全したり、絶滅寸前の生き物を救おうとする声もあがらないでいた。気が付けば、人の願いや希望は幾分素朴なものになっていた。

そうともなるといくら素晴らしい技術でも遊び道具に過ぎず、ツチノコを作ろうだの、誰が最も美しい女性や男性を作れるか競うだのどんどん下らない方向へと進んでいた。その様子を見下ろしていた神は、こいつらやっぱりアホだ、とひとまずホッとした。この技術に人生を捧げてきた数々の研究者は相当むなしい思いをしたに違いない。

それでは、ひとまずツチノコはおあずけにして、この技術の使い道を考えてくれる、頭の冴えた人間をつくってやろう。欲望、とか夢、愛、とかそういうのも、いっぱいつめて…。そして僕らで育てるんだ。

ていうか、誰か普通に子供作ればいいじゃないか。結婚してるやつ、いるだろう?

あ、うちは共働きで子供つくる予定ないから。ほとんどみんな同じだった。

ありゃ、少なくとも僕らの滅亡は確定でしたな。部屋はしばらく笑いにつつまれた。

コメント0archive

Post a Comment

<< Home