1.20.2010

太陽黒点を思フ

昔々々、お日さまが人とともに暮らしていた時代がありました。大層気持ちの良い方で、人々に愛され、まさに神として崇められておりました。そのため、人の気持ちに応えようと自ら農作物の具合をみては適度な雨を降らすなり、様々な形で人の生活に気をくばり、豊かな暮らしへと導いて下さりました。ただ、いくら親しい存在とはいえ、お日さまはお日さまで大変眩しい眼差しをお持ちで、人が直視することは出来ません。ましてや、間近にいるとなると人々はサングラスを一日中着けっぱなしにするしか方法はありませんでした。

民の不幸を望む王様はどこにもいないもので、新たに王座にのぼりつめた若い王子も例外ではありませんでした。彼は、小さいころから世界中を見回っていて、それはすばらしい見識を身につけておりましたし、おまけにハンサムでした。王座の直前は有名コンサルタントとして働いていたのでお金もありました。

いったいなぜ、人が皆それぞれサングラスをつけなければならないのだろう?お日さま一人がサングラスをかけてくれれば、私たちはうっとおしいサングラスを外すことができる。ああ、どれだけ生活が改善するだろう、どれだけお洋服のコーディネートの幅が広がるだろう!

王子は早速お日さまにサングラスをつけるようにお願いしました。お日さまは半信半疑でしたが、ものはためしと思ってサングラスをかけました。王子と人々はサングラスの呪縛から解放され、メガネファッションをはじめ、新たな自由を思う存分楽しみました。お日さまもサングラスが気に入ったようで、皆が王子の功績をたたえました。

ところが、何かに目覚めてしまったお日さまですが、お月さまをナンパしに出かけたきり、日々追いかけているのは目視できるものの、帰ってくる気配が一向にないのでした。

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