7.16.2009

ジョーカーを探せ

サムエル・サンザビエルはサーカスのピエロだ。ステージ名はピエロのサーシャ。

多くのサーカス団がそうであるように、サンザビエルが所属するブルガリア国立ハハキギ大サーカスは一年のほとんどにおいてツアーをしている。最近48才の誕生日を迎えた氏としては、体力には相当自信はあったが、それもいずれ大きな時間の流れには勝てまいと薄々実感しはじめた頃だ。

サンザビエルのように48才までこうストイックにピエロキャリアを積んできた人間もそうは多くなく、氏は同業の間ではちょっとした有名人だった。根にある人の良さもあってか、いまとなって様々なところから、うちのショーを一度でも見に来てくださいと招待されたり、若手ピエロの相談も受けるようになっていった。'そのように'現役のうちにしたわれるようになってたから、サンザビエルは自分の引退後のあり方についてしっかりイメージを持つことができていたし、避けられない最後のステージもなんとか笑顔で幕を閉じることができた。

ただ、どうあがいても引退生活というのはピエロと比べると当然退屈なもので、サンザビエルはいつも、どこかで、うずうずしている。いまのところ、それは誰にも相談できずにいる。

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