5.28.2009

レセイフェ’ア

慌ただしかったが、あくまでも正しい選択をしたと思う。
私に、後悔はない。

結果、私が無人島に持っていく唯一の漬け物は「らっきょう」とした。子供の頃の遊びで出てきたジレンマがまさか現実のものとなるとは思ってもいなかった。その頃から、きちんと結論を出してさえおけば、今となって大焦りで決めることはなかったのに。だが、その話はもう良い。

私がらっきょうを選んだ理由は、他でもない「飽き」の来なさだ。他の漬け物と比べても、らっきょうにたどり着いた経緯は簡単な消去法だ。らっきょうのみが、甘い・すっぱい・しょっぱい・辛い・苦い全ての味覚を持ち合わせていることが分かった。高菜のように青臭い&辛いだけでなく、べったらのように甘いだけでなく、らっきょうの場合五つの味覚が共鳴し、最高に複雑な味のハーモニーを作り上げているのだ。どんな料理でも優秀な付け合わせなのだ。その上、丸くて歯ごたえがあって最高にイカすのである。

らっきょうの落ち度に関しては、強いて言えば少しだけ口が臭くなることだが、私がこれから行くところが無人島であることを加味すると全然大した問題ではないことがすぐ分かる。政府からは、手作りらっきょうの大瓶を二つ支給された。他にも洋服、簡易的なテント、浄水器、救急道具もあった。

私は二つのらっきょうの瓶を両腕に抱えてビーチで横になった。瓶かららっきょうを一粒取り出して、ゆっくり噛んでみる。この夏はあながち悪いことばかりではなさそうだ。

コメント0archive

Post a Comment

<< Home