6.01.2009

アインシュタインの馬鹿

青山清二6才、彼の宝物は貯金箱だ。貯金箱が宝物だからといって、際立ってがめつい子供という訳ではない。十万円貯まる貯金箱。彼の両親は貯金の習慣を身につけてもらうために買い与えたものだ。父親の性格が大雑把で、たまたまファミリーレストランの玩具売場においてあったのが、この十万円のやつだった。

それ以来、お手伝いなりをしてはお小遣いをもらい貯金、お手伝いなりをしては貯金、の繰り返し。一年くらい続いているが、お年玉もふくめて2、3万円は貯まっているはずだ。親からしてみれば、いつか清二が本当に欲しいものがあれば、そのときに貯金箱のお金を使って、貯金の喜びを理解してもらう目論みだ。ただ、清二の中では意識が少しずれていて、逆にお金を「使う」概念がすっとばされている。あくまでも貯金の最終的目標は「十万円」を貯めることであって、金額も規模も年齢的に気の遠くなる水準なのだった。

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