3.04.2009

ペテロとヘレン

富山県富山市出身のペテロ・ペテンの母、ヘレン・ペテンはペテロが5歳のときに宇宙人にさらわれた。その数日後、絶望していたペテロに通りすがりのテレパシーが届き、どうやらヘレンは宇宙人に煮られたも食われたもなく、なんと宇宙人の故郷となる星の女王として祭り上げられていることが分かった。その日からペテロはヘレンの奪取を心に誓い、それは長い長い旅のはじまりだった。

なにはともあれ、まずは宇宙に行けなければ話にならない。

小学生のペテロは即座にロケット科学を志し、勉強に励み着々と優れた学歴を身につけていった。努力が実って有名な工業大学に合格し、有能な技術者や将来のビジネスリーダーとのネットワークを広めるようになった。片手間ではあるものの要領よく学業も進められ、やがてペテロは教授の座にありつくことが出来た。当然ながら、もはやロケット科学において彼の右を出るものはいなかった。

社会的地位も手に入れたペテロは、「宇宙戦艦トヤマ」プロジェクトを発案し、そこから怒涛のロビー活動と資金集めに取り掛かった。はたまた長い年月の末にスポンサーも資金も無事に確保されるようになり、様々な技術的な問題をも乗り越え、ようやく宇宙への旅立ちが実現されようとしていた。年齢的にも定年退職直前のペテロだったが、この日のための健康管理にも手抜かりなく、多少の根回しも加えてトヤマの特別乗務員として認められた。

<旅中略>

ヒッピリト星は豊かな星だった。

莫大な権力と金と酒を手にした母のヘレンはヘベレケに酔っていた。ペテロはビンタを一発おみまいし、恥かかせやがって帰るぞババァと、猫の首をつかむように宇宙戦艦に引きずりこんだとさ。

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