7.09.2008

腕一杯の距離と言葉の隙間

「もしもし。」

「母ちゃん、久しぶり。友幸だよ。」

「あら、しばらくね。」

「なかなか、時間ができなくてね。」

「いま、家にいるの?」

「ん?あぁ、家。」

「あなた、仕事はなにやってるの?」

「前と同じだよ。」

「パソコンの中身を作るお仕事のこと?」

「いや、違う違う。お金を運用するアドバイスをする仕事だよ。」

「それって悪いことじゃないわよね?」

「大丈夫だよ。大きい会社の系列だから。サラ金じゃあるまいし。」

「そう。お母さん、お金のことはよく分からないから。」

「俺も、よく分かっちゃいない。」

「そう。長く、続きそうなの?」

「それも、よく分からない。生活は、問題ないんだけど。」

「お父さん、最近良くないのよ。」

「医者の言うこと、まだ聞かないのか?」

「そうなの。食べるものも、変わらないし。」

「仕方ないな、アノ人は。」

「あたしも疲れちゃったの。」

「ああ。」

「あなたも、身体は丈夫じゃないんだから、ね。」

「それは分かってる。」

会話が突如加速する。

「俺、もうそろそろ飯だから。」

「あら、そう。じゃあ、身体に気をつけてください。またね。」

「親父にもよろしく。」

「はい。」

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