5.20.2008

浮遊霊ソノ伍

寝つきが悪かった。寝返りを繰り返してかえってくたびれたが、皮肉なことに睡魔だけは召喚できなかったようだ。諦めた。諦めたといっても何か変わったことすることなく、仰向けで天井の豆電球を見上げるだけだった。

ふとんのふもとに、居間に通じるふすまがある。今夜は暑いのであけたままだ。

ヒタ・・・ヒタ・・・

ヒジで起き上がり、居間の方をみる。私に背を向けた子供が「側転」をひたすら繰り返してる。壁から壁まで。突き当たったら再び反対のほうまで。すばやく、しかもかなり正確な側転をするもので驚いた。

しばらく眺めた。五分か、それとも三十分くらいやっていたか。よくくたびれないものだ。

ようやく側転を辞め、私のほうに顔を向けた。ぐしゃぐしゃに泣きじゃくっていた顔をしてる。

お前も眠れないのか?

こっちで私と一緒に豆電球を眺めないか。

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