6.05.2008

イタチごっこ

加藤みつおは十七歳で家出をしていて、それきり消息不明となっている。

家出直後、みつおの親は警察に捜査願いをだしたり、探偵事務所に相談したり、街にビラを貼ったり、ありとあらやる手段でみつおを探した。ただ、行方不明になってから20年も経つと、さすがに心が折れたか打つ手がなくなったかのいずれかが原因で、今やみつおの名前が現れるのは町内会の掲示板の隅っこのみだ。

そんなみつおが20年前に自分の机に残した置き手紙の内容は以下の通り:

お父さん、お母さん

僕は別に死にに行くわけではない。むしろ、僕は少なくともあなたたちよりは長生きすることになるでしょう。

これで、満足してもらえると嬉しい。どうか探さないで下さい。

いままでありがとう。

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