7.09.2008

虫のしらせ

一週間前くらいから、耳鳴りがする。起きてる時間はほとんど、慢性的に「キーン」という音が鳴っている。うるさい音楽を聴いた後の感覚に近い。この音はうるさくもなく、静かでもなく、ただただ絶え間なく鳴っている。人が何かを訴えたい時も、どんな大きな声で怒鳴るより、どんなやさしい声でささやくより、とにかく絶え間なく、繰り返し、しつこく伝えることが心を動かす方法の一つという。だから、僕はこの耳鳴りが何かの虫のしらせ、だという考えに至った。

ただ、かれこれ一週間もその耳鳴りは続いていて、何も起こる気配がない。年寄りの血族に異常がないか、それと遠くに住む友人に変わりないか、わざわざ確認をした。身の回りは至って平凡そのものだ。健康診断だって2度受けた。僕はもとから仕事に打ち込む肌でもないので、仕事運に関しては興味がなく、虫だって仕事に関心のない者に仕事の知らせをするほどヒマではないはずだ。

昨夜になって、悪夢を見た。僕の体が自動車であるという設定で、スクラップ行きになるために解体されていく夢だ。まだ走れるのになぁ、と思いながら腕や脚が外されていく。少しだが、痛みも感じる。身体には異常がないはずなんだが。とりあえず汗びっしょりで目が覚めてしまい、寝付けないので外を歩くことにした。

これも間違いだった。夜の街の占い師が目に入る。通り過ぎた占い師のほとんどと目を合わせてしまっている。気のせいか、どの占い師も僕に何か言いたいそうな顔をしているように見える。僕はたえきれず、帰り道に最後の占い師のところに立ち止まった。占って欲しいことがあるんですが。占い師はもの言いたさそうな顔をしていたくせに、いざたずねるとキョトンとした顔をしやがる。

虫が先にアンタに知らせたようだね。私になんの用だい?

いや、それが分からないから、こうここに・・・。

分かりなさいよ。それくらいのこと。

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