9.20.2007

残念ながらセリーヌは不滅

例えば、こんな男性。

夜遅い時間、駅からの帰り道にある公園に立ち寄る。なぜ立ち寄るかというと、子供用の鉄棒を見て自分が「逆上がり」をできるか確認したくなるのだ。小学生の頃、苦戦したのは覚えているが結局、当時成功に至ったかははっきり覚えていない。ひとまず鉄棒をグッと握ってみて、思いっきり蹴り上げてみる。ところが、見事に腕が自分の体重に耐えられず、上半身も鉄棒から離れてしまい、回ることができない。逆上がりを失敗したときの姿はなかなか惨めなものだ。なにせ、大の男が子供用の鉄棒をつかんだまま、バンザイしながらしりもちをついている状態なのだ。それから2ヶ月ほどかけて週あたり数回のペースで公園に寄り道をして逆上がりの練習をし、ようやく成功するようになる。

こんな男性、その後少しの間はやってやったぞと達成感に浸るが、自慢するにも自慢する相手が思いつかない。まぁいい、これは自分だけが知っていることにしようと、そんな結末になるわけで。こんな男性、真夜中に思い出し笑いをする。ププっと。

そして、例えばこんな女性。

セリーヌ・ディオンが大好きで、夜な夜なお風呂の中ではタイタニックのテーマのサビだけを繰り返し歌っている。ところが、こんなの誰に聞かせればいいんだろうとふと思う。まぁいいわ、私が私のために歌うんだからいいの、それでいいの。誰が何を言おうとセリーヌは最高よ。こんな女性、真夜中に思い出し笑をする。クスクスっと。

そしてこんな男性と、こんな女性が仮にある日出合ったとして、二人が愛し合うようになり、同じベッドで寝るようになった場合。お互い隠し事をしているわけでもないんだが、たまたま「逆上がり」も「セリーヌ・ディオン」が話題に一度もならないという、いわば偶然だ。付け加えるならば、偶然であろうとなかろうと、お互い知っていようといまいと、こんな些細なことが二人の関係に影響を及ぼすわけがない。ただ、今でもときどき男性の方か女性の方が、寝てるときに、ププッ、もしくは、クスクスッと、声を出して笑うこともある。その笑い声で起こされた相手にしてみれば少し頭をかしげる体験であるに違いない。

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