10.19.2006

終点は平和なところ

森の奥に潜む大きな屋敷。
ここには、歳よりの男が一人、暮らしています。

屋敷が建ったころは、まわりの森、といっても若木ばかりでした。でも、長い年月も経てば若木は巨大なカシの木となって、いまは屋根をも超えて光をさえぎる。屋敷も、庭も、敷地にあるすべてのものは日中も静かな影に包まれています。そのためか、数え切れないほどの窓には、全てカーテンがかかっています。男は滅多に家を出ません。今日も姿を見せるつもりがなさそうですね。少しだけ、中に入ってみましょうか。

入り口の門をくぐると、広いホールにつながっている。
扉を閉めてもらえますか。重いでしょう。

手伝いましょうか。

静かですね。いや、外も静かでしたが、葉っぱの音すら聞こえなくなりました。じゅうたんの一つでも敷けば、もう少し人を受け入れられるようなステキなところになるんでしょうけどね。灯りもつけておきましょうか。

コツン、コツン。パチ。

壁に写真がたくさん飾ってあります。全部、ここの主人が撮ったものなんですよ。若いころから写真がお好きで。こちらに写ってるのは主人のお父様とお母様、そこに立ってるのは二人の妹さん。こちらの写真に写ってるのは本人のご家族。奥さんキレイですよね。息子も立派に育てられて、今はその子も自分の家族を持ったそうです。とても幸せそう。

二階には、写真のアルバムだけでいっぱいの部屋もあるんですよ。

こちらが暖炉です。朝早くから焚いてたようですね。

これが日課のようですよ。

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