都会のオアシス
男はムシャクシャしていた。
時間は16:00。取引先を訪問していた。ようやく最後の会議が終わったところだ。今日の会議はことごとく上手くいかず、収穫といえる取引は一つも成立しなかったのだった。このまま社に戻れば、また部長にどやされるに決まっているので、どうも足元が重い。駅に向かわず、横道に入り住宅街をウロウロしていた。
小さな店が目に入った。入り口には小さい文字で書いてある。
「癒しパーラー」
新手の風俗かと思い、男は入ることにした。
白い壁の大きな部屋。部屋の中心に気弱そうな女性が立っている。24、25くらいか。なかなかシケた風俗だな、と少し男は後悔した。
「い、いらっしゃいませ」
どんなサービスなんだと尋ねた。小さな声で答えた。
「はい。お客様を癒して差し上げます。それでは、コーヒーをお持ちします。」
「コーヒーは飲まない。お茶を出せ。」
「お茶はございませんでして・・・」
「使えないな。それでは、コーヒーをもらおうか。」
ぬるいコーヒーが出された。
「音楽を流して差し上げましょう。ジャズのCDがあります。」
「ジャズは大嫌いだ。モーツァッルトをかけろ、モーツァッルト。」
「それは何ですか?」
「お前はモーツァッルトもしらないのか。全ての客がジャズでよろこぶと思ってるとはあまりにサービスが乏しいぞ。しかもこのコーヒーはなんだ、冷たい上に、どろどろに煮詰まっているではないか。何が癒しだ、こんな店は二度と来ないからな。」
女性の目から大粒の涙が流れた。
「すみません、申し訳ありません、怒らないで下さい。」
「もういい、こんな店なんかつぶれてしまえ。」
男は1,000円札を投げつけて店を飛び出た。
すっきりしていた。
時間は16:00。取引先を訪問していた。ようやく最後の会議が終わったところだ。今日の会議はことごとく上手くいかず、収穫といえる取引は一つも成立しなかったのだった。このまま社に戻れば、また部長にどやされるに決まっているので、どうも足元が重い。駅に向かわず、横道に入り住宅街をウロウロしていた。
小さな店が目に入った。入り口には小さい文字で書いてある。
「癒しパーラー」
新手の風俗かと思い、男は入ることにした。
白い壁の大きな部屋。部屋の中心に気弱そうな女性が立っている。24、25くらいか。なかなかシケた風俗だな、と少し男は後悔した。
「い、いらっしゃいませ」
どんなサービスなんだと尋ねた。小さな声で答えた。
「はい。お客様を癒して差し上げます。それでは、コーヒーをお持ちします。」
「コーヒーは飲まない。お茶を出せ。」
「お茶はございませんでして・・・」
「使えないな。それでは、コーヒーをもらおうか。」
ぬるいコーヒーが出された。
「音楽を流して差し上げましょう。ジャズのCDがあります。」
「ジャズは大嫌いだ。モーツァッルトをかけろ、モーツァッルト。」
「それは何ですか?」
「お前はモーツァッルトもしらないのか。全ての客がジャズでよろこぶと思ってるとはあまりにサービスが乏しいぞ。しかもこのコーヒーはなんだ、冷たい上に、どろどろに煮詰まっているではないか。何が癒しだ、こんな店は二度と来ないからな。」
女性の目から大粒の涙が流れた。
「すみません、申し訳ありません、怒らないで下さい。」
「もういい、こんな店なんかつぶれてしまえ。」
男は1,000円札を投げつけて店を飛び出た。
すっきりしていた。
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