9.17.2006

水入らず

「ジィ、ちょっと来てくれないかな」

「何のご用でしょう、お坊ちゃま」

「寒いから、ホットココアを作ってもらえないかな」

「かしこまりました。それでは作ってまいります」

「ジィのホットココアは美味しいから好きだ」

「恐れ入ります。それは、温かいミルクに、ココアと砂糖を別々に混ぜているからです」

「ジィはどうやって美味しいものを作れるようになったの?」

「それは私が若いころ、料理の学校で学んでいたからです」

「すごいなぁ、ジィは。でも、ジィは僕の宿題も見てくれるよ。ジィはなんで勉強もできるの?」

「それは私が若いころ、とても良い先生が沢山いる、有名な大学に通っていたからですよ」

「ジィのお父様はなにをやっていた人なの?」

「お坊ちゃま、それは答えられませんな。ご容赦ください」

「それは何故、教えてくれないの?」

「残念ですが、それはお坊ちゃまが私のように育ってはいけないから教えられないのです」

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