6.25.2006

ジンクス

雨の日がしばらく続いていた。
土曜日も雨だった。日曜日も。
若い男と、3ヶ月くらい付き合っていた女。
退屈していた。

二人は近くにビデオ屋に出かけた。男は、キングコングのパッケージを手に取り、これにしようかと提案した。女はあまり乗り気でない様子。

「だって、キングコングって最後は死んじゃうんでしょ?あたし、ハッピーエンドがいいわ。」

男は笑いながら、そんなもんじゃないだろう、という。誰もがキングコングのエンディングは知ってるけど、映画ってそれだけじゃないよ。特撮とか、ストーリーとか、キャラクターとか、スリルとか、いろいろあるから面白いんじゃない?だから、エンディングが有名でもこの映画を借りてる人がいるわけでさ。

「でも、あたしは悲しいエンディングの映画はイヤなの。あたしはアメリカ映画が好きだわ。」

思ったより本気で抵抗していたので、男はキングコングを諦め、結局二人は映画を決められずに帰ってしまった。男は考えれば考えるほど納得いかず、再び彼女に尋ねる。人生って悲しいのも嬉しいのも両方あるじゃん。

「なんで、わざわざお金を払ってまで悲しくならなきゃならないの?」

キレイな話かもしれないじゃない。

・・・

僕ら自身、ハッピーエンドになると思う?

「そう思ってるから付き合ってるんじゃない。」

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