5.18.2006

でも楽しかったよ

「すみません」

外でタバコを吸っていたときに、満面の笑顔で体格の良い女が話し掛けてきた。若い。外は雨が降っていて、ムシムシしてる。彼女はグレーのスーツを着ている
。なぜかピンクのスニーカーだった。

「はい?」

「お忙しいところすみません。ちょっと見ていただきたいものがあるんですが!」

「なんでしょう」

ライター貸してくれ、とでも言うのかと思っていた。

女はハンドバッグから、太巻きのような形をした鉄の筒を取り出した。縦長にパックリ二つに割れるようになっていた。女は自らそれを割ってみせて、私の方に差し出した。よくよく見ると筒の半分は計算機になっていて、もう片方にはペンケースだった。

「雑貨屋のものなんですが、これ、いくらだと思いますか?」

「うーん。いくらだろう。」

「普通、1,500円するんですよ、これ。」

「あー。」

反応をする間も与えずに、女は喋りつづけた。高すぎますよね、1,500円じゃ。それで、このシステム手帳とコレ(なにか他に取り出して)と合わせて1,500円でいかがですか、という話なんですが。という。

「文房具は間に合ってるから、今日はいいや。」

「そうですか!分かりました、失礼しました!」

「大変そうだね、こういう営業」

「そうなんです!」

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