6.07.2006

罪の街、僕の

私の親は、暑苦しくキリスチャンである。そんな事情もあって、小さいころは毎週日曜日、教会につれて行かされた。そこでの話の内容は正直、よく分からなかった。今もよく分からないから、今は行ってない。別に誰かを否定したいわけじゃない。話が少しそれました。少し。

その教会は池袋にありました。当時は(今はどうなんでしょうね)あまり治安がよろしくなかったんです。日曜日の朝っぱらから、恐そうなお兄ちゃんや、お洋服がキラキラしたお姉ちゃんがウロウロしていたのを良く覚えています。ウロウロしてたり、キョロキョロしてたり、ソワソワしてたり。そんなある日曜日、私は、一人ウロウロお姉ちゃんを指差し、親に聞きました、あのお姉ちゃんは何してるの?私は、キラキラお姉さんに興味があった。母は視線をそらさず、私の手をギュッと握って、一気に早歩きになった。

何でもないの、早く行くわよ。

いま思い返しても、なかなか冷たい表現。何でもない、だって。非人間。理由は理解できなくはないですが。でも、「何でもない」ってね。え、なんで何でもないの、悪い人なの、なんで悪いことしてるのと繰り返し聞いたが、ちびっ子のモラルなんぞ簡単に押しつぶされるのが当然で、私は二度とその質問は口にしなかった。

今は、錦糸町の近くに住んでいます。悪いところではないんですが、私の記憶に残ってる限り、池袋のように治安は悪いです。今日はとっくに午前零時を回っていたので、駅からタクシーに乗って帰ることにしました。タクシー乗り場に向かって歩き始めると、キラキラお姉さんが話しかけてきました。ヘッドフォンをしていたので、そのまま無視して歩き続けたのですが、あまりにもしつこく付いて来るもので、私は等々立ち止まって、ヘッドフォンをはずして、「マッサージは結構です。家に帰るんです」と彼女に言った。

キラキラお姉さんはシワをよせた。あたしを覚えてないのね。
あなたは、あの時のボウヤね。
びっくりする前に、何なんだろうこの人は、と思った。
ボウヤは昔、池袋に良くいたわよね?日曜日とか。

あなたは全然歳をとらないんですね。
あらそうかしら。
だって、当時は私幼稚園児ですよ?
あらそうだったかしら。
え、でも20年くらい前ですよね?
街の一部なんだから、あたしはそう簡単には消えないのよ。

ただものではなかった、と、母に伝えたい。

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