7.19.2005

スーパーマンがいれば

男は14時過ぎのコンビニで大量にタバコを買い占めている。昼のラッシュ時であれば偉い迷惑だったところ。マイルドセブン、キャスター、マルボロ、銘柄はあまり関係ないように見える。店員は一番大きなビニール袋を5枚分、いっぱいいっぱいにタバコのパックで詰めた。男は30中盤くらいで、洋服は少し色落ちしたジーパンに、半そでの紺色のポロシャツ。髪の毛は長めだが、だらしなくは無い程度。額に少しの汗。サイフにはピン札の1万円札がごっそり入ってる。

男はビニール袋を両手に下げ、近くの公園のベンチに向かう。腰をかけると、早速袋からメンソールのタバコのパックを取り出し、丁寧にラップをはがし、一本取り出す。本を読むのでもなく、ブランコで遊ぶ子供をみることもなく、下向いてひたすらタバコを吸う。次から次へと丁寧にラップをはがしては、タバコを吸う。ひたすら吸う。男の足元は吸殻で埋め尽くされる。

勇気ある子供が、男に近づく。

「なにやってんの。」

「タバコ吸ってるんだよ。」

「たくさん吸ってるね。うちのパパより沢山。楽しい?」

「楽しいさ。喉が痛いんだけどね。」

「タバコ吸うと、中が真っ黒になって死んじゃうんだって、先生が。」

「知ってるよ。」

「なんでいっぱいタバコ吸うの?」

「君たちがタバコを吸えないように、おじちゃんがお店のタバコを全部吸ってるんだよ。」

「ごみに捨てれば?」

「ごみに捨てちゃうと、誰か見つけて吸っちゃうかもしれないでしょう?」

「そっかー。じゃあ、バイバイ。」

「バイバイ。」

ぼそぼそ、と独り言が聞こえてくる。
次は、角の自動販売機だ・・・。
ああ、忙しい・・・。

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