4.13.2005

かすかな生命反応

住吉-(半蔵門線)→大手町-(千代田線)→赤坂。
30分くらい。

私の通勤コースです。大体想像はつくかと思いますが、朝は混んでいます。そのような今朝、大手町の千代田線ホームで見た風景です。すし詰めの代々木上原行が到着し、ドアが開くと同時に乗客が出てくる。こぼれ出てくる。ドア全開の時点で、あふれ出てきている。複雑に絡み合うバッグや傘や腕や新聞や熱気。やむを得ずその波に身を任せている人たちの表情がまぁ不機嫌だこと。見るたびに、自分は大手町下車でなくてよかったなぁと思ってみる。私はちょうどその波にのまれない具合に、外のドア脇に背中を向けて乗車できるまで待つ。



その波の中で見かけた60歳前後くらいの、茶色のスーツの、おじさん。中小企業の取締役くらいか、部長か。顔の肌があまりにもクシャクシャで、目は黒目の部分しか見えない。表情は不機嫌でもなんでもなく、分からなかった。ジャガイモに表情がないように。ほんの一瞬の出来事だった。おじさんの前にいた可哀相なサラリーマンが吹っ飛ぶ。周りには多分ズッコケたくらいにしか見えなかっただろうが、私は確かに見た。まばたきしていれば確実にミスっていたと思う。しゅっ、とおじさんの手が驚くべき速さでサラリーマンを突き飛ばしたのでした。おじさんは表情を何一つ変えずにまたしゅっ、と手を引っ込めてあっというまに波にのまれていきました。

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