2.23.2005

亀と兎と都会鼠と田舎鼠(後編)

1ヵ月後の話。有給を利用したことを口実に、大豆畑の害虫駆除を担当していた田舎鼠は兎から解雇通告を受けてしまいました。調子は万全でなかったものの、田舎鼠は必死に、無謀にも兎に解雇の正当事由が満たされていないと訴えましたが、当然相手にされませんでした。民法による訴訟も試みましたが、兎には都合よく、イソップ農業協同組合の圧力が裁判所にかかり、陪審員団の過半数は兎類で構成され、裁判所は茶番と化してしまいました。

農業で暮らせなくなった田舎鼠はやむを得ずイソップ村を出て、再度都会鼠のマンションに訪れました。そこで酒・女・ロック・麻雀を都会鼠の影響で覚え、フリーターとなり、月25,000円のアパートを借り、それなりに幸せに暮らしました。心優しい都会鼠は卒業後、無難に就職し、良い意味で不特定多数の人ごみのなかへと消え去っていきました。

その間、兎と亀のかけっこは運良くワイドショーのネタとして取り上げられたことをきっかけに、異常なほどのマスコミの注目を浴びることになっていました。かけっこその日も全国ネットで放映されることになり、兎と亀の人気は急上昇しました。

「亀よ、これはいっそのことコア事業をたたんで、広告収入で食っていこうではないか。」

と兎さん。とっくに理性を失った亀さんももちろん合意しました。もう大豆なんかまっぴらだ。その後兎と亀は農家からイベント運営者に転進し、今度は共同で会社を設立しました。彼等もイソップ村を出て、イソップ市に新しく出来た大型都市開発プロジェクト「イソ・ヒル」(くどい?)にオフィスを設け、ヒル族としてちやほやされることとなりました。

一年後にはかけっこブームが過ぎ、イソップ国民の注目が再びサッカーに向いてしまい、会社が倒産したことはもはや言うまでもありません。

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