2.22.2005

亀と兎と都会鼠と田舎鼠(前編)

昔々、イソップ村に亀と兎が暮らしていました。亀と兎はそれぞれ、先祖代々より伝わる土地を利用して大豆作りに励んでいました。二人は良きライバルでした。

互いに農業に関しては譲れないこだわりがあり、それぞれ醤油に適した大豆、枝豆に適した大豆等、ゆるぎない努力で次々とすばらしい大豆の品種を開発していました。ところが、ある日イソップ国に「イソップ農業協同組合(略称:IA)」という団体ができ、イソップ国の農家全てに対して安定的な収益をもたらすために、品種を問わず全ての大豆を均一価格で買取り、全国への物流を仕切ってしまうことになりました。徹底した品質管理、研究開発活動に見合った収益が得られなくなった亀と兎は共に資金繰りに困り、経営不振に陥る一歩前で、やむを得ず大量生産戦略に移行し、人員削減を含む大胆なコスト削減も実施しました。その結果、破産は免れたものの、亀と兎はすっかり大豆への熱意を失ってしまい、灰色の毎日を過ごすことになりました。

「そうだ、せめてかけっこでもしないか。かつての熱い気持ちを取り戻すために・・・。」

と亀さん。この際、何でもしてやる、とうなずく兎さん。ということでかけっこの準備が着々と進められた。レースの日が近づくにつれて、互いのライバル精神は再び燃えに燃え上がった。

一方で、イソップ村に住む田舎鼠は、国立イソップ大学に通ういとこの都会鼠のマンションに遊びに行っていた。都会のごちそうもたらふく食べさせてもらい、ちょうど「都会の生活も悪くない」と思えてきたところだったが、部屋の壁紙の接着剤の影響でシックハウス症候群になってしまい、予定より早く田舎に戻ることになってしまいました。良心的な都会鼠は気の毒な田舎鼠をイソップ村まで送り、相当ダルかったがしばらくそこで看病してやることを決心しました。

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