未知との遭遇
山奥の貧しい村にサムライが迷い込んできた。盗賊か熊にでも襲われたのか、あちこちに怪我を負っており、いまにも倒れ死んでしまいそうだった。
村人は困った。誰一人サムライに会ったことがないので、どのように接すればいいのか分からない。ある者が、聞いた話だとおサムライというのは大変気難しい人種で、少しでも機嫌を損ねると刀を抜いて斬られてしまうので気をつけた方がよい、という。
当人は虫の息とはいえ、斬られてはたまったものではない。村人はサムライに群がるものの、近寄ろうとしない。助けるにも、追い出すにも、最初に声をかける者がまずいない。
らちがあかないので、村長が口をひらいた。えー、コホン。おサムライさま殿。あなたさま殿はおサムライで間違いないかね?できれば、刀は抜かないでいただきたいと思うのでごちそうさま。
ところが、そのとき既にサムライは気を失っていた。
おサムライが死んじまった!これはとんでもないことになった。村長、どうしよう。
村長は一歩に近づき、おもむろにサムライの刀に手を伸ばした。
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