涙のランデブー(続)
決死のデッドボール。
あたしはあなたがこんなに好きなのに、こんなことになってしまうなんて、と言いながら両手で顔をかぶせて弁天はマウンドで崩れ落ちる。
二人は激しく抱き合った。青年の麦色と弁天の白い肌がマーブルアイスクリームのように複雑に混じり合った。青年はお椀のようなちぶさをガッチリわしづかみにしながらもやさしく首筋にキスをした。重なる唇から、ため息がもれる。そのとき。
ズゴゴゴ。
ベッドサイドにおいてあったビー玉が不気味な光を放し、部屋中が揺れ、そしてピタリと止まる。古いクローゼットのドアがひとりでにきぃぃ、と開くが中には誰もいない。
俺、ちょっと見てくる。君はここで待ってて。
やめときなよ。
大丈夫、大丈夫。きっとただの風だから。
あたし、とてもイヤな予感がするの。
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