3.19.2009

過程と果実

登美子は同性愛者だ。ハッキリその意識を持ちはじめたのは成人になった後からである。小さい頃から薄々と感じていたが、それは他の女性とは少し趣味が違うという心構えに留まっていた。

女子高生時代、友人と集まって彼氏彼女の話題になると、どうも皆と同じテンションに追いついていない実感はあったが、それは自分自身に合う男にまだ出会っていないことが原因だと整理していた。男友達もいたし、誘いもあったが興味を持てなかった。一方で、当時つるんでいた同姓に対しても性的にひかれることもなかった。あたしってひょっとしたら恋愛に向いてないのかも。登美子はね、きっとハードルが高すぎるのよ。いま思い返せば、違う意味で確かにあの頃から自分の性質に目覚めることのハードルはあまりにも高すぎた。

いまのパートナーと出会ったのは会社に入社してから二年後くらいだった。同性愛者も異性愛者にも共通する、ビビビというやつである。ただ、相手が自分に興味があるない以前に、相手も同性愛者かどうか分からなかった。現実問題として女性の場合、男と比べて判別がやたら難しい。結局、付き合うに至るまで二年間かかった。

まあ今となっては、その苦労した分、お互いを大切に思う気持ちは並々ならぬもので、二人は大層幸せに暮らしているのだそうだ。

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