4.24.2008

いちまいのお皿

遠い未来、何千年も経てば、考古学者という職業が世の中から姿を消してしまうのかもしれない。消えて欲しいのではない。悲しいことに不必要になってしまうのだ。
今は必要だ。大昔の人は不親切なことにロクなヒントを残してくれなかった。皿だの骨だの、そんな小粒なものから当時の出来事とか生活習慣を推測することしか出来ない。たかが皿、骨から。なかなか至難の技ではないかと素人でもわかる。まあ、彼らだって色々大変だっただろうからウン千年後の人類の心配してる場合じゃなかっただらうし、責めに値しないのは当然であって。

それに振り替えていまはどうだろう。敢えて考えてみて、いまの人類はウン千年後の人類に十分の情報を残しているだろうか。敢えて考えてみて、笑っちゃうくらい十分残してるのではないかと思う。一枚の皿どころか、一人一人の人間について細かい生い立ちは役所に残され、生活はクレジットカードのデータとして生々しく現れ、そして無数の博物館、写真アルバム、書籍ブログメール音楽。なにが怖くてこれ程ものが蓄積されてきたのだか。

足跡がはっきりし過ぎて、ウン千年後に考古学者がいたとしても偉く退屈な仕事となることだけは間違いないと思う。

一応、ウン千年後の考古学者であるあなたに断っておく。ごめん。

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