5.08.2008

また遊ぼうねと言いなさい

じいさんの様態が悪くなったから病院に来てくれって。小さい頃から何かと世話になったじいさんなので、老人ホームに入ってからも定期的に顔を出すようにしていたが、この数ヶ月すっかり二人目のひ孫を見せに行くことを忘れていた。

人の身体というのはどの機械と同じようにいずれは衰えて壊れてしまう。祖父は仰向けで病室の天井を眺めながら全身全霊を呼吸に集中させていたよう。頸動脈には点滴のくだが射されていて、枕元には大きく「絶食」の看板。入れ歯が外されてるせいか、それとも体力がないためか、一言も喋れない状態だった。体臭が相当きつい。きっと、この数日間ずっと調子が悪くて風呂どころではなかったのだろう。

祖父はずっと私の記憶の中では身体が丈夫な方で、60を過ぎても頑固に大工の仕事を続けていたことが印象深い。それもあって、この変わり果てた姿が思った以上にショックだった。

幸いなことに意識はわりとしっかりしていて、目を合わせたり、うなずいたりすることでコミュニケーションはなんとかとれた。ひ孫1号の手を握ったり、2号の頭をポンポンなでたり。少し、笑ったり。じいさんあんたひ孫二人目にもなって、まだ髪の毛フサフサなのはどういうことなんだかね。

そんな苦し紛れなセリフを漏らしながら祖父の頭をなでてる自分が少し複雑だった。

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