責任とか嫉妬とか情とか
「40年も生きるのよ。」
「へぇ、40年も。」
妻の突然の買物に、夫はただ驚いていた。
砂を敷いた水槽に、一匹の陸亀。
陸亀は手足や頭を甲羅に引っ込むことができない。
ゆっくり、歩いている。目線は妻に向けている。
いままでの妻の買物の傾向は、リビングルームを見渡せばすぐ分かる。デザイナー家具、飲みもしない沢山のワイン、写真立て、悪く言えばミーハーな趣味のもの。そんなリビングルームのコーヒーテーブルの上に、突然置かれた、問題の陸亀の水槽。
「これから数えれば、この子って、あたしたちと寿命が大して変わらないのよ。」
「うーん。」
「なんか、そう考えるとほっとけなくて。」
「40年生きるのは、別にこの亀に限ったことじゃないだろ。」
「そうだけど・・・。あ、でも、子供ができたらいい相手だと思わない?」
「犬の方が良くないか。ネコでもいいけどさ。」
「犬やネコが良くて、なんで亀がダメなの?」
犬やネコが良くて、亀がダメな理由はない。
夫は思った。嫉妬なのかもしれない。
もし、仮にこの亀が本当に40年も生きたりしたなら、
自分より長生きするかもしれないことを、想像したくなかった。
「だって、僕らより長生きしたらどうするのさ。」
「だったら、いまのうちに子供を作っておくのよ。」
「へぇ、40年も。」
妻の突然の買物に、夫はただ驚いていた。
砂を敷いた水槽に、一匹の陸亀。
陸亀は手足や頭を甲羅に引っ込むことができない。
ゆっくり、歩いている。目線は妻に向けている。
いままでの妻の買物の傾向は、リビングルームを見渡せばすぐ分かる。デザイナー家具、飲みもしない沢山のワイン、写真立て、悪く言えばミーハーな趣味のもの。そんなリビングルームのコーヒーテーブルの上に、突然置かれた、問題の陸亀の水槽。
「これから数えれば、この子って、あたしたちと寿命が大して変わらないのよ。」
「うーん。」
「なんか、そう考えるとほっとけなくて。」
「40年生きるのは、別にこの亀に限ったことじゃないだろ。」
「そうだけど・・・。あ、でも、子供ができたらいい相手だと思わない?」
「犬の方が良くないか。ネコでもいいけどさ。」
「犬やネコが良くて、なんで亀がダメなの?」
犬やネコが良くて、亀がダメな理由はない。
夫は思った。嫉妬なのかもしれない。
もし、仮にこの亀が本当に40年も生きたりしたなら、
自分より長生きするかもしれないことを、想像したくなかった。
「だって、僕らより長生きしたらどうするのさ。」
「だったら、いまのうちに子供を作っておくのよ。」
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