11.02.2006

本田さんおめでとう

銀行口座の通帳におかしな記載がある。

「オメデトウゴザイマス ゴレンラククダサイ」
「03-xxxx-xxxx」

男は早速携帯電話からかけてみた。

「東京リズホ銀行です」

「あのう、通帳にオメデトウゴザイマスという記載があったんですが・・・」

「少々お待ちください!」

受付の女性の声は相当うろたえた様子だった。数十秒待つと、年寄りの男の声がする。東京リズホ銀行の頭取、安部と言います。おめでとう、本当におめでとう。なんのことでしょうか。ふと思った。先月買った宝くじか。大当たりでもしてしまったか。いや、仮にそうだったとしても、なぜ銀行の頭取と話す必要があるのだ・・・。

色々な思いが頭をよぎった。

いまどちらにいるんでしょうか?今ですか?そう、今。中野ですが。今から車を向かえに行かせますので、そこで待っててください。大手町の本部まで来ていただきます。さすが頭取だけあって、なぜか五分後にピカピカの黒のプレジデントが男の前に現れる。ここまでとなると、さすがに男は動揺した。

銀行の中央本部のカウンターを過ぎ、VIP席をも過ぎ、さらに長い廊下を抜けて、見たこともない豪華な応接室に案内される。その中には、10名ほどの年老いた紳士が待ち受けている。

「私はいったい、何があたったというのですか・・・」

男は声を震わせながら尋ねた。

「不老不死の身体です。10年に一度、抽選で男性を一人選んでいるのです。」

「いやあ、本田さん、本当におめでとう。自分のことのように嬉しいよ。」

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