7.23.2006

詩的許容

奈良氏は小説家で、今はある雑誌の連載を書いている。

一言でいえば、中年男の切ないラヴストーリーだが、主人公は一人だけではない。その男の他にも、その愛人、男が勤める会社の同僚、愛人の姉、二人の行き着けのバーのマスターなど、ざっと十人の登場人物がある。主人公が一人でない理由というのは、全ての文章が独り言だからだ。毎週、登場人物を一人挙げている。十人分の連載を書き終えるまで、時間が止まってることになる。十人分書き終えたところで、ようやくストーリーの日付けも変わる。

何ゆえこのような物語になったかは定かでないが、雑誌の編集者を悩ませているのは確かだ。なにせキャラクター同士のやりとりがまったくないものだから、途中から読む読者はストーリーがまったく理解できていない。単純につまらない、おもしろくないの評判であれば対処は簡単だが、読者の問い合わせはほとんど質問だ。

今週は十二週目で、男と女が出会った翌日の、バーのマスターの番である。

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