4.14.2006

カリフォルニアの夢

男は手ぶらだった。連れもいない。
今日はたまたま、一人で昼食をとろうとしていた。
雨が上がり、よく晴れた日だった。少し肌寒い。

昼頃のオフィス街はサラリーマンやオフィスレディーでにぎわっている。二人組や三人組が多い。大抵の連中は行先が決まっているので、足早に目的地まで一直線に歩く。この男のように、一人の者はウロウロし、迷う割には大抵ラーメン屋か牛丼屋のような店に流れ込んで行く。

男はファミリーレストランに入ることにした。広い席でくつろぎたかった。

「お一人様・・・ですか?」

「ん、あ、うん」

若いアルバイトの子は多少戸惑ったようだが、すぐ男を四人かけの席に案内した。店には四人かけの席しかなかった。男は大きなメニューを新聞のようにテーブルに広げ、アゴを片手に、ゆっくり写真を見つめる。数分後、呼び出しボタンを押して、ウェイトレスにコーヒーとエビグラタンを注文した。

しばらく待つと、ウェイトレスがコーヒーを持ってきた。お客様申し訳ございません、という。エビグラタンが品切れなので、他のご注文でもよろしいでしょうか、と。申し訳ございません。

「ん、あ、うん」

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