二人の協定
ディーマとカサブランカという、二人の友人がいた。普段はとても良い仲だったが、ひとつだけ、もめごとがあった。ディーマは「あの世」は存在しないと主張する一方で、カサブランカは存在する、というのだ。二人とも当然死んだ経験はないので、結論は出るはずもなかった。ある日、カサブランカがひらめいたのであった。お互い、死ぬまで分からないことについて延々と議論するのも無駄だと考え、ある協定をディーマに提案した。
「僕らのうち、先に死んだ方があの世に行ったとすれば、この世に残された方と連絡をとろうとする、ということでどうだ。連絡があれば、文句なしにあの世の存在が実証されるし、連絡がなければそこまでだ。」
「それは名案だ。これで、もう言い合いをしないで済む。」
「忘れるんじゃないぞ。」
「当然だ。」
二人は握手で協定を結んだ。
気の毒なことに、数日後ディーマは交通事故で亡くなってしまった。カサブランカはしばらくの間、二人の協定のことはすっかり忘れてしまい、友人の死を悲しんだ。
その一週間後の出来事だった。カサブランカは自宅に帰ると、リビングルームのソファにディーマが腰をかけている。何事もなかったかのように、カサブランカを笑顔で迎えた。
「よう。おかえり。」
「死んでるのか?」
「ああ。死んでる。」
「そうか。あの世はあったのだな。」
「そうだな。」
「しかし、ずいぶんと遅いじゃないか。死んでから一週間も経つぞ。」
「色々忙しくて。」
「忙しいって、お前は死んだのだぞ?」
「死んでから色々あったのだ。お前に伝えたいことが山ほどある。時間があまりないのだ。死んでからはだな・・・」
カサブランカは、耳をふさいだ。
「ちょっと、待て。これ以上は聞きたくない。」
「僕らのうち、先に死んだ方があの世に行ったとすれば、この世に残された方と連絡をとろうとする、ということでどうだ。連絡があれば、文句なしにあの世の存在が実証されるし、連絡がなければそこまでだ。」
「それは名案だ。これで、もう言い合いをしないで済む。」
「忘れるんじゃないぞ。」
「当然だ。」
二人は握手で協定を結んだ。
気の毒なことに、数日後ディーマは交通事故で亡くなってしまった。カサブランカはしばらくの間、二人の協定のことはすっかり忘れてしまい、友人の死を悲しんだ。
その一週間後の出来事だった。カサブランカは自宅に帰ると、リビングルームのソファにディーマが腰をかけている。何事もなかったかのように、カサブランカを笑顔で迎えた。
「よう。おかえり。」
「死んでるのか?」
「ああ。死んでる。」
「そうか。あの世はあったのだな。」
「そうだな。」
「しかし、ずいぶんと遅いじゃないか。死んでから一週間も経つぞ。」
「色々忙しくて。」
「忙しいって、お前は死んだのだぞ?」
「死んでから色々あったのだ。お前に伝えたいことが山ほどある。時間があまりないのだ。死んでからはだな・・・」
カサブランカは、耳をふさいだ。
「ちょっと、待て。これ以上は聞きたくない。」
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