1.15.2006

とんがり帽子のロンド

マラカス少年は幸せな家なき子。
持ち物は大事なマラカスと、緑のとんがり帽子だけ。
両手でマラカスを振りながら、長い長い、スキップの旅。

シャン、シャシャカシャカ。
シャン、シャシャカシャカ。

出会う人々はみんな、マラカスのリズムを聞くと、つられて踊りだす。ぶるんぶるん手足を振り回しながら、一生懸命踊る。ところが、マラカス少年がいなくなると、人々は何事もなかったかのように我に戻ってしまい、踊っていたことすら忘れてしまう。いたずら好きなマラカス少年。わずかな記憶を失う人々。彼等がキョトンとしている間、マラカス少年は既に、次の街に向かってスキップしている。

次はコショウの国が見えてきた。コショウの国のひとは少し不思議。みんな、コショウのシェイカーを身に着けている。マラカス少年は街の中心にたどり着くと早速マラカスを振り始める。シャン、シャシャカシャカ。コショウの国の人たちは一斉に踊りだした。ところが、みんな手元にあるコショウのシェイカーを振るので、コショウの雲が街中を包む。

コショウが目に入って涙が出る。鼻にも入ってくしゃみが出る。マラカス少年もたまらなくなって、ついついリズムが乱れてしまう。シャン、シャ、ハクション。手が滑って、マラカスを落としてしまった。踊り狂うコショウの国の人たちが大事なマラカスをふんずけて壊してしまった。

やっとの思いで、緑のとんがり帽子の少年は街から逃げ出してきた。

口笛を吹きながら、歩いて楽器の国に戻っていったとさ。

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